為替介入とは?条件や種類について
為替介入とは?
為替介入は、中央銀行や政府が通貨の価値を調整するために外国為替市場に介入する行為を指します。
これは主に通貨の過剰な変動を防ぎ、経済の安定を図るために行われます。
為替介入の主要条件
基本的に政府が為替相場に介入してはいけないというのが前提になっているため、
諸外国に対して大義名分がなければ介入を行うことはできません。
以下の主要な条件を満たした時に発動させるのが為替介入であることを覚えておいてください。
1,為替レートの急激な変動
市場の不安定要素として、為替レートの急激な変動があります。
例えば、ある通貨が急激に安くなると、輸入品の価格が上昇し、インフレが発生するリスクがあります。
このような場合、中央銀行は通貨を買い支えるために介入します。
2.経済の安定化の必要
経済の安定は、為替介入の主要な理由の一つです。
特定の通貨が急激に変動すると、輸出企業や輸入企業に大きな影響を与えます。
これにより、国全体の経済バランスが崩れる可能性があるため、政府は介入を行うことがあります。
3.貿易収支の調整が必要
貿易収支が大きく偏ると、経済に大きな影響を与えることがあります。
例えば、輸出が減少し、輸入が増加する場合、通貨の価値が影響を受けることがあります。
このような状況では、為替介入を行うことで貿易収支の調整を図ります。
為替介入の主要な種類
為替介入と一言で言ってもいくつかの種類がありますのでわかりやすく紹介します。
協調介入
協調介入は、複数の国や中央銀行が協力して行う介入です。
この手法は、為替市場に対して強力な影響を与えることができ、通貨の価値を安定させるために行われます。
- 例:1985年のプラザ合意
- 目的:ドル高を是正するために、アメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリスの5カ国が協調してドル売りを行った。
- 結果:ドルは大幅に下落し、各国の貿易収支が改善。
単独介入
単独介入は、一つの国や中央銀行が独自に行う介入です。
他国の協力を得ず、自国の経済状況に応じて介入を実施します。
ただし、条件を満たした上で諸外国に許可を取る必要があるため、簡単に介入できるわけではありません。
- 例:2022年9月の日本の介入
- 目的:急激な円安を防ぐため。
- 結果:円が一時的に反発し、円安の進行を抑制。
口先介入
口先介入は、政府や中央銀行の高官が発言を通じて市場に影響を与える方法です。
具体的な売買行動を伴わず、言葉で市場の期待を操作します。
現状、日本で行われやすい介入です。
- 例:ECB(欧州中央銀行)の発言
- 目的:ユーロ高を抑制するために、金融政策の変更を示唆。
- 結果:市場の期待が変わり、ユーロが一時的に下落。
直接介入
直接介入は、中央銀行が市場で直接通貨を売買する方法です。
例えば、円高を防ぐために円を売り、ドルを買うといった具体的な行動を取ります。
実弾介入と言われるものです。
- 例:1990年代の日本の介入
- 目的:円高を防ぎ、輸出企業の競争力を維持するため。
- 結果:円の上昇が抑制され、経済が安定化。
間接介入
間接介入は、金利政策や量的緩和などを通じて、為替レートに間接的に影響を与える方法です。
具体的な通貨の売買を行わずに、金融環境を調整します。FOMCなど。
- 例:アメリカの量的緩和政策
- 目的:経済刺激とドル安を誘導。
- 結果:ドルの価値が下がり、輸出が増加。
為替介入の具体的な事例
プラザ合意(1985年)
プラザ合意は、協調介入の典型例です。
1985年、アメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリスの5カ国が協調してドルを売り、円やマルクを買い支えることで、ドル高を是正しました。
この介入により、ドルは大幅に下落し、各国の貿易収支が改善しました。
日本の単独介入(2022年)
2022年9月、日本は単独で為替介入を実施しました。
急激な円安が進行したため、政府と日銀は円を買い支えるために市場に介入しました。
この介入により、円は一時的に反発し、円安の進行を抑制しました。
ただし、この時はアメリカのファンダメンタル要素と重なったため、一時的に転換しましたが、今介入を行なっても、同じように下落するとは限りませんので要注意です。
各介入の効果とリスク
為替介入の効果とリスクは、介入の種類によって異なります。
- 協調介入:
- 効果:市場に対する影響が大きく、通貨の価値を安定させやすい。
- リスク:協力が得られない場合、効果が限定的になる。
- 単独介入:
- 効果:迅速に実施でき、自国の経済状況に即応する。
- リスク:市場の信頼を得られない場合、効果が短期的に終わる。
- 口先介入:
- 効果:費用がかからず、市場の期待を調整できる。
- リスク:発言が信じられない場合、逆効果になる。
- 直接介入:
- 効果:具体的な行動により、為替レートに即時の影響を与える。
- リスク:大量の資金が必要で、長期的な効果が保証されない。
- 間接介入:
- 効果:金融環境全体を調整し、広範な影響を与える。
- リスク:効果が現れるまでに時間がかかり、予測が難しい。
話題になっていた『覆面介入』とは?
もう一つ、GW頃に話題になっていた覆面介入とは、中央銀行や政府が市場に対して秘密裏に行う為替介入のことです。
通常の為替介入とは異なり、政府や中央銀行はその実施を公表せず、あくまで市場に気づかれないように行います。
覆面介入の具体的な手法
覆面介入は、以下のような方法で行われます:
- 匿名の注文:中央銀行が市場で匿名の取引業者を通じて通貨を売買します。これにより、介入の主体が誰であるかを市場に知られないようにします。
- 市場操作の分散:一度に大量の通貨を売買するのではなく、複数の注文に分けて行うことで、市場への影響を最小限に抑えます。
- タイミングの調整:市場の流動性が高い時間帯や特定の経済指標が発表されるタイミングを避けて介入を行うことで、注目を避けます。
覆面介入の目的と効果
覆面介入の主な目的は、為替レートの過度な変動を抑えることです。
また、市場のパニックや投機的な動きを防ぐために行われることもあります。
具体的な効果としては:
- 市場の安定化:急激な為替変動を防ぎ、通貨の価値を安定させることができます。
- 投機的動きの抑制:投機家による大規模な取引を抑え、市場の秩序を維持します。
- 経済政策の補完:特定の経済政策の効果を高めるために行われることがあります。
市場への影響
覆面介入は、その秘密性ゆえに市場への影響が一時的であることが多いです。
ただし、成功すれば市場の安定化に寄与し、投機的な動きを抑えることができます。
また、市場参加者の間で疑念が広がることもあり、介入の効果が長期的に続くこともあります。
為替介入に対する見解
多くの専門家は、為替介入が一時的な効果を持つ一方で、
長期的な市場安定のためには他の政策手段との併用が必要であると指摘しています。
例えば、金利政策や財政政策と組み合わせることで、
より持続的な効果が期待できるとされています。
そのため、政府としても安易に為替介入を行うことができないというのが現状かなと思います。
まとめ
為替介入は、経済の安定化や貿易収支の調整を図るために重要な政策手段ですが、その効果とリスクを慎重に評価する必要があります。
また、今の為替介入のタイミングに関しては、
・指標後
・閑散期狙い
など過去のやり方よりも意外なタイミングで来ることも覚えておきましょう!
2024年7月現在のドル円を例にした対応策としては、
・為替介入狙いのショートは避ける。
・ロングは必ずSLを設定する。(口先介入などが急に来るかもしれないから)
・介入がきたら、落ち着いてから戻しそうならSL設定してロングで戻しを狙う。
すごくシンプルですが、今はこのやり方で稼いでる方も多いので頭に入れておくといいかなと思います。